鍼通電とゲートコントロール説|痛みの伝わり方から考える

「鍼を刺すと、なぜ痛みが和らぐことがあるのか」——この問いに対して、神経生理学の分野で古くから参照されてきた考え方のひとつに「ゲートコントロール説」があります。今回は、この理論を軸に、鍼通電がどのように痛みに関わると考えられているかをご紹介します。

目次

ゲートコントロール説とは

ゲートコントロール説は、1965年にMelzackとWallによって提唱された理論です[1]。痛みの信号が脊髄を通って脳に伝わる際、脊髄には信号の通過を調整する「門(ゲート)」のような仕組みがあり、太い神経線維からの刺激(触覚など)が入ると、痛みの信号を伝える細い神経線維からの情報が相対的に抑制される、という考え方です。

鍼や鍼通電による刺激は、この太い神経線維を刺激することで、痛みの信号が脳に伝わる量を相対的に減らす方向に働く可能性がある、と説明されることがあります。もちろん、痛みの仕組みはこの理論だけで説明しきれるものではなく、現在もさまざまな研究が続けられている分野です。

鍼通電と周波数の使い分け

鍼通電では、周波数の設定によって神経系への働きかけ方が変わると考えられています。ゆっくりとしたリズムの通電と、比較的速いリズムの通電とでは、関与する神経経路が異なる可能性が指摘されており[2]、施術の目的に応じて周波数を使い分ける、という工夫がなされています。

はりきゅうサロンflareでの位置づけ

こうした神経生理学的な仕組みは、あくまで「考えられているメカニズム」であり、すべての痛みや症状に対して同じように働くことを保証するものではありません。それでも、鍼灸が単なる経験則ではなく、神経系の仕組みという観点からも説明が試みられてきた手法であることは、施術を受けていただくうえでのひとつの安心材料になるのではないかと考えています。

参考文献

[1] Melzack R, Wall PD. Pain mechanisms: a new theory. Science. 1965;150(3699):971-979.
[2] Zhao ZQ. Neural mechanism underlying acupuncture analgesia. Prog Neurobiol. 2008;85(4):355-375.

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この記事を書いた人

花田 光由(はなだ みつよし)
はりきゅうサロン Flare オーナー
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師

2020年3月 桐朋高等学校 卒業
2020年4月 湘南医療福祉専門学校 入学
在学中より国家試験対策サイト「東洋の委員長」を立ち上げ、鍼灸学生向けの学習支援・情報発信を開始。
2023年3月 湘南医療福祉専門学校 卒業
2023年4月 同校に入職し、国家試験対策指導を担当。
2023年7月 合同会社 東洋の委員長 設立
2024年4月 教育学系大学院へ進学。経絡経穴の学習困難をテーマに研究に取り組む。
2026年2月 はりきゅうサロン Flare(フレア)開業
2026年7月 一般社団法人大田区鍼灸あんまマッサージ指圧師会 外部顧問 就任

現在は臨床に加え、鍼灸・医療分野を中心とした情報発信や配信活動、Webマーケティングにも携わる。
JEAS、BFA JAPAN、ダーマローラージャパンなどのWebマーケティングを担当。

専門分野は、はりきゅうのICT教育・Webマーケティング。
これまでの研究テーマは、経絡経穴の学習困難。
教育・臨床・情報発信を横断し、鍼灸をより身近に届ける活動に取り組んでいる。

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